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2009年1月31日 (土)

ベターハーフ

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アメリカのオバマ大統領は第40代。白人と黒人の半々なのに黒人だと称しているけれど、ハーフです。歴史上、相反する肌の色が、ハーフとして融合したことはなかったということでしょうか。

一方、第124代の昭和天皇。戦前の軍国日本と戦後の平和・高度経済成長で、印象としては陰陽半々。今年は亡くなってからもう20年ということです。写真(今年・平成21年1月14日撮影)の武蔵野の天皇陵の大きさを見ると、それはやっぱり小型の古墳で、神武天皇以来の神話がまだ生きているといえるでしょう。最大の平和と最悪の戦争という相反する現実が、神話性を強調しているようにも思えます。

奈良県橿原市に陵墓のある(といわれる)初代神武天皇が即位したのが西暦でいうと紀元前660年2月11日。古田武彦氏の学説(スピークマンのエッセイで中野氏が関連エッセイを掲載中)によれば、神武天皇は実在したということですから、神実半々の世界。

異質なものが半々でひとつになって存在する、というのは、不思議な印象を人に与えます。数学的には、左からみるとマイナス1で、右から見るとプラス1という数は存在しません。左方極限と右方極限が一致しない数は存在できない。マジンガーZに出てくる男爵・右から見ると男で左から見ると女、みたいな生物は存在できないわけです。

 そういう意味で、すでに神話化されているオバマ大統領が、もし現実を神話化できなかった場合、大変なことになるような気がします。つまり、アメリカという神話が危うくなる。

 先進国は、より付加価値の高い製品の開発・製造に産業構造を改革していけば、製造コストの安い途上国を含めた世界は、永遠に発展できる・・・。これまで見てきたそんな夢が、戦争もせずに自由貿易体制を引っ張ってきたのではないでしょうか。

先進国側が漠然と持っていたその希望=神話が次第に追い詰められ、分が悪くなった製造業を諦めて金融に走り、そしてその金融帝国構想が昨年崩壊した・・・。

発展途上国がみな這い上がってきた後、世界を待っている「現実」は、はたしてハーフになるのでしょうか。

<このブログは、10万円代の自費出版本、3万円代での絶版本の復刊、在庫本のリンク、一般商品の「販売」を行うハイブリッド書店スピークマンがおおくりしています>

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