2007年2月17日 (土)

北田浩子氏の美と猫の二つの様式

White_cat2  今回のブログは、画家の北田浩子氏へのインタビューです。
北田氏は、二つの絵を描き分けます。
ひとつは、スピークマン書店に登録していただいているシリーズで、「バレリーニャ」のカレンダーに代表されるキュートな絵。
もうひとつは、この絵のように、日本画院の審査官としての、日本画の本道をいく絵です。

 キュートネコを描くようになったきっかけは、初めてメスネコを飼ったときに感じた、甘え方のちがい、だそうです。言ってみれば女の甘え方。この可愛さに、はまったらしい。
そのネコに、バレエのチュチュを着せたら可愛いだろうなと思ったところからカレンダータイプのこういう絵が生まれたということです。

 「バレリーニャ」も人物デッサンの構図に、ネコ特有の骨格を描き込んだ、絵画探求の道の真上にある北田さんならではの絵です。
お笑いの人たちのコミカルなコントが、俳優顔負けの演技力から生まれるのと、少し似ているかもしれません。

 一方、日本画院画家としての北田画伯は、異例の早さで審査員になりました。
その力は、実は「補彩」で培われたようです。
「補彩」とは、絵画の保存・修復の仕事。これを2年間経験したおかげで絵を素材から考え、「壊れないように、描く」ようになったそうです。

 画伯が描く猫の絵の下地は、絹や絹に金箔を裏打ちしたもの。
素材から考えても日本画の奥行きは深い。

 ところで人間や猫の体は、タンパク質という素材によって作られています。
神様あるいはDNAがそのように作りました。
その素材を変えれば、サイボーグやロボットになるわけですから、もしお笑いというコントを本当に素材から変えれば、それはサイボーグが演じるという画期的なものになるでしょう。
絵において何を素材に使うかというのは、だからとても重要なファクターです。

 素材から変わった絵といえば、最近では、液晶画面のデジタル絵画でしょうか。
ふつうの絵をデジタルに変換するだけでなく、最初からコンピュータ上に描く絵は、それはもう油絵の洋画でも、岩絵ノ具の日本画でもない、ドット画でしょう。
でも、そのドット画でも、見る人の液晶画面の設定によって、ひとつとして同じ絵にはなりません。
作った人にとってさえ、その時々の画面の古さや設定で決まり、1年後にはかなり違った色味になる。
どんな絵だって、時とともに変わってしまうのです。肉体と同じように。
もし変らないものがあるとすれば、それは逆に、作家が生み出すテーマ。テーマこそが変らない。
 北田画伯の絵は猫、北田さんの絵もネコ、ただタッチや手法・切り口が違うだけです。

 時間の経過まで考えた画伯の絵への取り組みは、何が大切かという問いかけかもしれません。
「新しい絵」を作り出すのに、キリスト像から静物、そして感情やスピリチュアルなものまで
変っていった西洋絵画のテーマの変遷にとらわれて、何をテーマにするかを探してばかりでは堂々巡り。
テーマは不変なものとし、それを表現する素材や手法を変えていく、というのが画道探求の一方法なのでしょう。

北田氏の絵のテーマは、
「気品あふれる色鮮やかさ。一歩間違えると下品になる花魁(おいらん)のような色気と美しさ」だそうです。

中学のときの竹内栖鳳(たけうちせいほう)の「斑猫」(まだらねこ)との出会いが絵の道を志すきっかけだという彼女のこのテーマが、どういう素材を身にまとうのか、楽しみです。

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