2008年5月31日 (土)

そして江戸は残った

Dvc20262_3  今回のブログは、鐵砲洲稲荷神社(てっぽうずいなりじんじゃ)の例大祭についてです。
今年平成二十年は、五月の二日から五日まで行われましたが、三年に一度の本祭りということで、非常に盛り上がっていました。

 湊、明石町、入船、新富、銀座東の一丁目から八丁目(一部西も)の氏子の皆さんが、自慢の神輿(みこし)をかついで、神社から歌舞伎座から八丁目から、出てきては練り歩く。

 祭は老若男女を問わず、ウキウキさせます。
自由が丘の超高級マンションの中学生も、祭の笛の音が好きだと言っていたし、
いつもは銀座の端っこの公園にへばりついている白髪ホームレスのオッサンも、ピーヒャララに誘われて、銀座三丁目の神輿の近くまで「遠出」してきているのをみかけました。
目が合ったので、思わず挨拶しそうになった。

 祭に集まってくるのは、堅気だけでなく、○○一家と入った半纏(はんてん)を着た人たちも。
 彼らも、築地署が目の前にあるここでは、おとなしくしている約束なんだそうです。
不思議なもんで、警察も一家のみなさんも、神輿担ぎには参加しない。

 神輿を納める御仮屋を作ってもらうのは昔ながらのカシラ(鳶頭)。
築地署も、140年前は「御用、御用」って、
○○一家は「親分、親分」って言ってたのかも。
いまもか。
 カメラを持ってウロウロしていると、時々話を伺う和菓子屋さんが、「ま、飲んでけよ」。
そこで聞こえる半纏を着たご近所の会話は
 「今年ぁ、歌舞伎座に突っ込むときゃ、○丁目には担がせてくれねーんだと。なんだあいつら」
 「この前、喧嘩しちまったんで、俺は今年は担げねーんだ」
 「江戸っ子」は、いまも健在なのです。

 大きな企業がたくさん入った銀座五丁目から八丁目は
担ぎ手である住人がいなくなって、パワーがダウン。
歌舞伎座のある四丁目も神輿はないみたいです。
バブルの地上げも、出て行く住人の数を加速させたことでしょう。
でも女性陣の参加もあって、銀座東の晴海通りの北側や入船、湊といった人たちの担ぐ力は健在です。

 明治政府が大火の焼跡に新しい煉瓦街を作ったのが、
(銀座中央通りと昭和通りの間にあった)三十間堀川の西側すなわち西銀座で、文明開化の象徴でした。

 長崎は出島でオランダ文化が生き続けたように、幕府が滅んだ後も、三十間堀川で隔てられた東側「出島」の江戸文化は、西洋化から守られ、つい最近の1951年、三十間堀川が埋め立てられて、二つの時代は、ついに統合された…。

 最近の銀座は、陸の上のお金持ちを真摯に受け止めるために海外のブランドが上陸する「港町」、という感じですが、
海流に乗ったプランクトンと、豊かな森林を持つ山の雪解け水が出会うところで生物は豊かに繁殖する。
少なくとも、鐵砲洲神社の鈴を鳴らし、築地市場の自分の魚貝を撫でつつやってくる海の気が、
銀座という「港町」を満たし、いまは道路となった川にも流れ込んでいる、そんな気はいたします。
震災や戦災を経ながらも。
横浜でなく、晴海も含めた東京港が開港していたら、航空母艦もやってくる町になったのでしょうか。

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