2009年7月30日 (木)

ロボットの自己実現

Hanayome  東大ではピッチャーロボットと、その球をすべて打ち返すバッターロボットが、
産総研では人間にそっくりの表情を見せる花嫁ロボットが作られました。

 でも剛速球をカキーンと打ち返すバッターや
ウェディングドレスを着て嬉しそうに歩く花嫁は、
もともと人間の目的だったんじゃないでしょうか。ロボットは人間の手段。だった。

 むかし、中学生の頃、技術家庭科の時間に「おもちゃを作れ」という先生
(タニセンと呼んでいた)の指示で、
自転車に乗った人形が、くるくる足を回す「機械」を作りました。

 でも先生に見せた途端、
「こんなつまらねーもん、オモチャなんかじゃねぇ」と、ひどい点をつけられた。

「針金の人形が自転車に乗って足と車輪を回す仕組み」が面白いだろうと思って、
けっこう頑張って製作したと思います。
その間ずっと先生は見ていて、できて見せに行ったら、
つまらないからダメと言われたわけですが、
それに、仕組みや技術に面白みや発展の余地がある
と子供心に思っていたわけですが、
たしかにそんなもの作っても遊ぶ道具としては意味がなかったかもしれません
(そんな審査基準があるなら最初からおっしゃっていただければようござんしたねぇ)。

 よく言われるように、日本は手塚治虫の影響で、ロボットにロマンを求め、
世界最先端の技術を持つようになったと思います。

 でもその結果が、バッターロボットや花嫁ロボットなら、
ちょっと目的をしっかり考え直した方がいいんじゃないでしょうか。
目的の曖昧な実験は恐ろしい。努力が無意味になりますから。

飛行機は目的地がないと飛び立てないし、
目的を失うことで五月病にも鬱病にもなります。
達成してしまった目的は、食べ終えたヌードルのカップみたいな感じでしょうか。
曖昧な目的は、在庫の山か。

 たぶん欧米は、掃除用だったり兵器だったりと
ロマンのカケラもないような優れたロボットをたくさん生み出してくるでしょう。
その方が目的がはっきりして、作りやすいから。
それに楽園の子孫だから、ロボットに仕事をさせて、
自分は楽をしたいという気持ちがはっきりしているでしょう。
ロボットに人間の目的を達成させることに、関心がないんじゃないでしょうか。

 もし目的が、人間の代替物を作ることなら、
それは国家プロジェクトだし、なぜそこに税金をかけるのか、
どういうメリットがあるのか、もっと説明しなくてはならないように思います。

 日本人もこの間までは、目的がはっきりしていました。
物質的な豊かさを求めていた時代です。

 生物は、30億年以上もかけて
進化しながら目的を受け継いできました。
与えられた体の中で、幸せを追求すること。
何を幸せと感じるかというと、
腹いっぱい食べること、健康で長生きすること、子孫をちゃんと残すこと。
それは、肉体が快感だと感じる方向と同じでした。
でも、精神的豊かさが言われるようになってから、おかしくなってきた。

30億年の生物の歴史の最後で、
ついに目的を見失い、受け継げなくなった生物は、この後どの方向に進化するのか。
曖昧だと退化するっていう方が、けっこう理屈のような気もします。

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2009年5月31日 (日)

動画の時代

 ユーチューブの成功が物語るように、
インターネットも、静止画でサイトを飾る時代から
動画を載せる時代にしだいに変わりつつあります。

 でも人生がもし、痛みや快感つきの動画であるとすれば、
自分の人生のほとんどが退屈な、あるいは不安な、
また他人の欲を満たすために仕事で苦労している日々の動画で、
それを何十年も見続けていることになります。
この動画を支配しているのは、たまーに起こる快感への希望でしょうか。

 休憩時間は夜にやってきて、パジャマに着替えますが、
休んでいても動画を見ることもあります。夢というやつです。
結局、寝ても覚めても動画なのであります。
自分が動画なのですから、仕方ありません。

 私たちはこれまで、静止画を大事にしてきました。
アルバムに貼って、折を見ては見返したり、
携帯の待ち受け画面にしたり、額に入れて居間に飾ったり。
この100年間、静止画は、動画である人生の一部を切り取った、手軽に扱える思い出でした。
一瞬は、100倍してもやはり一瞬で、取られる側も見る側も一瞬ですみました。

でも、動画はそうはいきません。
時間もかかるし、エネルギーも使う。
つまらない写真・静止画は、黙殺すればすむのに
わざわざ赴いた旅やイベント(という動画)や、
今週の30分のアニメがつまらなかったりすると「返してくれ」。

見たものがつまらない動画だと、とてもがっかりします。
それは30分の動画を見ることがすなわち、30分の人生だからでしょう。

一方、面白いと、何回も見てしまいます。
だって、そうすること自体が楽しい人生なんですから。

動画の時代とは、その部分だけ自分と他人の人生を差し替える時代、というか
見る動画の数々に、自分の人生をのっとられる時代なのではないでしょうか。

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2009年4月30日 (木)

食べられて生きていく

Dvc40252  これは植林の最先端、「木の赤ちゃん」です。ひょろっと20センチくらい、竹の棒にヒモでゆるく結ばれて、強風もなんとかしのげるね、っていう感じ。
 木って、植林って、種を植えるんじゃないんですね。苗木を植える。苗木屋さんが種から育てるんでしょう。挿し木という方法もあるみたいです。
 植物は不思議です。何が不思議かって、自分の交配は虫や風や鳥にまかせ、自分自身の体に食われる実を作り、動物に食われて生きていく。
 自分は何を食うかというと、環境を食っている。二酸化炭素と水と光ででんぷんをつくる。根から水や窒素やリンを吸い上げる。空気と水と光で生きていく。生まれたときから、人が作ろうと必死の燃料電池や太陽光発電装置+有機物製造装置を持っているような。有機物製造装置は夢でしょう。そしたら田畑がいらないですね。
どこらへんから動物と分かれたんでしょうか。半動半植のミドリムシだという人もいます。でも系統図を見ると、そのずっと前に分かれているみたい。
生態系では、上に君臨している動物の方が、植物より進化しているのでしょうか。そのわりにはいつも飢えて食い物を探し回り、あくせく働いている。人間にいたっても、いつも景気や天候を不安視して、誰かが飢えている。
食われて生きる植物はしかし、痛みは感じないみたいだし、水がなければ枯れればいいや、葉を動物に食われても、また青々としたやつを生やしてくる。まるで本当の体はどこか別のところにしまってあるみたいに。
植物と動物のどっちの戦略が、成功したのか・・・。意外と、明らかじゃありません?

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2009年2月27日 (金)

新富町階段物語

Dvc40097 東京メトロ有楽町線は、
だいぶあとからできた路線なのでしょうか、
地下のかなり深いところを走っています。
ということは、その各ホームから地上までは
鉛直方向にかなりの距離があることになります。

スピークマン書店があるのはその有楽町線の新富町駅。
地上に出る2番出口までの階段は、
エスカレーターを使って降りた所からでも74段あります。

1、2年前、反対側に地上との間を往復するエレベーターができましたから、
遠回りをすれば、機械が労力を代行してくれるわけですが、
新富町側に来る人のほとんどは、こちらの階段を使います。

現在スピークマンが入っているビルは5階建て。
その階段を数えてみると全部で60段です。

5階まで上がるには、5-1=4階差分の段数を昇りますから、
1階上がるのに60段÷4=15で15段です。
つまりビル1階分に相当するのが15段。

だから、新富町駅の74段の階段を昇るということは
74÷15(1階分の段数)≒5で
ビルの6階まで歩いて昇るのと同じだということになります。

うつ病の人を励ましてはいけない、とも言いますが、
階段を昇るところにもし
「この階段はビルの6階分あります。頑張りましょう」
と書いてあったら、健康な人でも足が動かなくなるかもしれません。

逆に数年前、階段の途中で休んでいた叔父のように
これではいかんとスポーツジムに通うようになって、
問題なく昇れるようになる人が出てくる可能性も。

銀座から昭和通りを渡って地上を歩いてくるときも、
銀座二丁目東側や新富町に来るところだけ
歩道橋を渡ることになりますから、
あらためて健康にいい町として売り出すこともできるでしょう。

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「東京人」4月号(2007年)
月刊誌■月刊誌★特集「東京は坂の町」七つの丘の坂道を歩く/タモリの東京坂道ベスト12■対談「陣内秀信×西河哲也」
スピークマン書店 1冊から作るインターネット書店&出版社
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